2020年6月1日、今日からパワーハラスメント防止措置が義務化されるなど、ハラスメントにかかわる法律が施行、改正されました。
通称「パワーハラスメント防止法」の正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」、略称「労働施策総合推進法」。
今回、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法も併せて改正され、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの防止対策も強化されることになりました。
パワハラ防止法が成立した背景の1つは、寄せられる相談件数の増加にあります。2018年度(平成30)、厚生労働省に寄せられたいじめ・嫌がらせの相談は、民事上の個別労働紛争相談件数の中でトップの82,797件。右肩上がりの増加です。人間関係でのトラブルは、職場環境、メンタルヘルス不調者や離職者等にも影響を与えます。2012年(平成24)に専門家ワーキンググループから、パワハラの定義が発表されてから8年が経ち、ようやく法が施行されたことになります。
今回、明確にされたパワハラの3要素は以下の通りです。
①優越的な関係を背景とした言動であって
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③労働者の就業環境が害されるもの
①②③のすべてを満たすもの、とされました。
①「優越的な関係を背景とした言動」とは
言動を受けるものが行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指します。
上司から部下だけではなく、同僚や部下による言動でもパワハラになることがあります。
②「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」とは
業務上必要性がない言動、その遂行手段として相当でないものを指します。
指導であっても、社会通念上限度を超えていれば、パワハラになることがあります。
③「労働者の就業環境が害されるもの」とは
その言動によって労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、能力が発揮できないなどの悪影響を受け、就業する上で看過できない程度の支障が出ている状態を指します。
今は、新型コロナの関係で、ハラスメント防止対策が十分に取り組めない状況にある組織も多いのではないかと推測いたします。
まずは、働く人の命を守り、経営を守るという困難を乗り越えようとされている全ての経営者、労働者のみなさまに敬意を表するとともに、今後もお役に立てる情報を発信していきたいと思います。