オフィス今岡

「自分らしく生きる」ことを支えるアサーションをテーマに、研修・ワークショップ・執筆を行っています。

時効消滅した、大正生まれの女性の年金を取り戻す!

5年ほど前に初めて受けた年金の仕事依頼は、時効消滅した年金を取り戻す!仕事だった。

 

「自分の老齢年金が支給されないことに、どうしても納得がいかない」という関西にお住まいの大正生まれの女性Oさん(当時80歳)の娘さんからのご相談。

 

Oさんは、障害福祉年金を受給することになっても老齢年金保険料をひと月の未納もなく納めていた、という年金への意識の高い方だった。

 

2歳年上の夫が平成4年に死亡し、遺族厚生年金の請求手続きをした時、Oさんは既に65歳を過ぎていた。

 

当時の法律でも、65歳を過ぎていれば「老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給可能」つまり、両方もらえたのです。

 

しかし、当時の社会保険事務所手続きで、「遺族年金をもらったら、自分の老齢年金は出ない」と、Oさんは言われた。

しかも、2回も同じことを言われたため、老齢年金の請求手続きをしなかった。

 

平成18年に、たまたま娘さんがOさんの件で社会保険事務所に行くと、「遺族厚生年金と老齢年金は併給できるのに、何故こんなに長くほったらかしていたのか?」と逆に質問されたという。

 

社会保険事務所が老齢年金資格の確認を怠っていたため、Oさんは受給できる老齢基礎年金の請求ができないものと思い込み、請求手続きをしてこなかったのだ。

年金の時効は、5年。

遡っても5年分しか支払われなかった。

夫が死亡してからの約9年分は時効消滅していた。

それを取り戻す仕事が初仕事だった。

申立書を作り、社会保険事務所に交渉、説明のため、何度も足を運んだ。

 

Oさんに何故受給できないのか納得できない、という強い意志があったこと、娘さんがその思いを受けとめ、社会保険事務所にかけあった事実があったこと、家族だけでは解決が難しいと、社会保険労務士を探したこと、消えた年金記録問題で、時効特例法が成立する時期と重なったことなどから、相談を受けてから約6か月で解決に繋がった。

数百万円の年金を取り戻すことができ、Oさんと娘さんが心から喜んでくださった。

 

Oさんは、今もお元気でいらっしゃるとの便りを娘さんからいただく。

 

Oさんの年金相談は、社会保険労務士駆け出しの私にとって、顧客に満足していただくことの喜びを知る経験となった。

これからもきっと忘れない記憶・・・Oさん、長生きしてくださいね。

 

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