オフィス今岡

「自分らしく生きる」ことを支えるアサーションをテーマに、研修・ワークショップ・執筆を行っています。

パイロットもアサーションを取り入れている!「乗客の安全のために」遠慮を乗り越える

上司に進言できる部下こそ、チームや組織の活性化には必要であり、上司、リーダーは意見が言いやすい環境、雰囲気をつくるのが役割・・・それが、航空会社での常識になるよう日頃から訓練しているという。

パイロット不足にあえぐ航空会社ですが、パイロットを育成する教官と話す機会がありました。

パイロットだけの話ではなく、どの企業も同じだと感じたのが、上に書いた「機長(上司)は、副操縦士(部下)が意見しやすい雰囲気をつくるのが重要」という話でした。

 

1970年代に続いた航空機事故調査を基に、NASAと航空会社が中心となって開発されたのが、「CRM=クルー・リソース・マネジメント」というパイロットの訓練。

「どんなに経験がある人でも、間違いを犯すことがある」という前提に立った考え方で、事故を無くすためにはパイロット間のチームワークにおいて、上下関係による遠慮や気づいたことを言わない等のことがあってはならない、というものです。

 

目的は、「乗客の安全を守るため」

あやふやなまま、OKを出したり、聞き取れなくても、質問をしなかったり、「機嫌を損なうのでは?」と具申を躊躇したり・・・では、パイロット間のパフォーマンスが最大限発揮されないことになる、という考え方に基づいた訓練だという。

 

上下関係の厳しいパイロットの世界ですから、副操縦士が機長に意見するのは、非常に困難と推測されますが、それではダメなのです。

副操縦士は、「間違っていてもいいから、叱られてもいいから? と感じたら、機長に話しなさい」と求められる。

機長は、「高圧的ではなく、意見をいいやすい雰囲気をつくりなさい。それがボス=リーダーの役割だ」と求められる。

上司と部下には、ちょうどいい「権威勾配」が必要なのだという。

 

勾配がきつければ意見は言えない、勾配がゆるくても関係性がお友達のようになってしまい、緊急事態に決められなく恐れがある。

ちょうどいい「権威勾配」を模索すること、お互いが最大限相手を尊重する風土を持つことが良好なチームワークには必要だという話だった。

 

機長(上司)に率直に意見し、副操縦士(部下)からの意見を素直に受け取れる、パイロットの世界にも自他尊重の自己表現=アサーションの考え方が活きている。

 

  

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