オフィス今岡

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労働契約法改正~無期契約労働者(正社員)のみ食堂利用可とするのは、合理的?

先日ある組織で「労務管理の基礎」という講義を担当した際に、労働契約法改正があった第20条「不合理な労働条件の禁止」で質問を受けました。

 

【質問】

「無期雇用の労働者のみ食堂が利用できたり、食事の補助が会社からされるのは、ダメなんですか?」

 

労働契約法第20条は、こんな内容です。

⇒同一の使用者と労働契約を締結している、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより、不合理に労働条件を相違させることを禁止するルール

  

この条文の趣旨は、

無期契約労働者と比較して、有期契約労働者は雇止めの不安があったり、合理的な労働条件ではなかったりと処遇に対する不満が多く指摘されていることを踏まえ、有期労働契約の労働条件を設定する際のルールを法律上明確化したもの、とされています。

 

そこで、質問の「食堂の利用」です。

通達(解釈)では、有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の差を設けることについて、「とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などに労働条件を相違させることは、職務内容、配置の変更の範囲、その他事情を考慮して、特段の理由がない限り合理的とは認められないと解されるものであること」と明記されています。

 

①職務内容とは?

⇒業務内容、責任の程度を指す

 

②配置の変更の範囲

⇒今後の見込みも含め、転勤、昇進などの人事異動や本人の役割変化などの有無や範囲を指す

 

③その他の事情

⇒合理的な労使の慣行などが想定

 

「特段の理由がない限り合理的とは認められない」わけですから、無期契約労働者の方のみが食堂を利用できる、食事補助がある・・・という相違は、合理的であるとの判断は難しい場合が多いと思うのです。

 

つまり、「食堂はみんなが利用でき、補助を行うのであれば、みんなに行う必要がある」ということになるのではないでしょうか。

 

正規雇用が全体の約4割になっている現在、この労働条件の相違をめぐるトラブルや

処遇の違いからの不満が出されることも大いに考えられます。

 

トラブルのない職場にするために、できることをコツコツとやっていきます。

 

 

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