オフィス今岡

「自分らしく生きる」ことを支えるアサーションをテーマに、研修・ワークショップ・執筆を行っています。

アサーションの底流には人権をまもり合おうとする精神が

2月のおしまいの日。

 

確定申告の書類を眺めると昨年は案外がんばってきたんだなあという気持ちになる。

 

手帳と合わせてみると1つ1つの仕事の記憶が蘇ってくる。

 

昨年は社会福祉の現場にかかわる方々と「自分も相手も大切にする自己表現」=アサーションを一緒に学ぶ機会を多くいただいたことに気づく。

 

労働条件が厳しい現場もある中で、利用者の方々、ご家族の方々との関係をつくりながら日々の業務にあたっていらっしゃる職員の方々がいる。

人に対する姿勢と実践を続けていくことの難しさを理解したうえで、同じ職場で働く人々の尊厳も大切にしたいという要望から実現したアサーションを知ってもらう機会だった。

 

職員同士がうまくいくことばかりではない、間に立ってしんどい役割を取ることになる人もいる。「コミュニケーションの問題」で片づけられることの多い職場の課題を、正解はないし、悩みながらでも何か取り組みたいのだという熱い思いをたくさん聞かせてもらった。

福祉の現場の人出不足は言わずもがな。せっかく職員として加わってくれた人を大切にしたい。労働条件が厳しい場合はなおさらのこと。そんなジレンマをかかえながら「自分も相手も大切にする」という人としての権利を知ろうとしてくださっている。

その施設のマネジメントをする方から、利用者、ご家族への質の高いサービスは、自らの職場環境を整えることも大事、その両方が大事だと聞かせてもらうことが増えた。人材の確保に苦労をされているからこそ、聞かせてもらう言葉の数々。

 

家族、友人、職場・・・身近にいる人ほど、コミュニケーションは難しい。こちらが伝えたい意味を一回伝えたくらいで理解してもらえるほど、やりとりは簡単ではないと思っておいたほうがいいかもしれない。そう簡単にはわかりあえないということだろう。

そのためには失敗もあること、謝ることも赦すこともあることをわかっておくといいと思う。

 

私自身がアサーションに出会えたのは、親子の関係で自分の自己表現に課題があると思ったからに他ならない。そして、労働相談の現場で言いすぎる人、言えない人、間に入る人、どの立場の人も困っていることがわかったことにある。

 

アサーションはこう言えば、伝わるという万能なツールではないが、その底流には人として誰もがもっている所与の権利(表現の自由を含めて)を守り合おうとする精神がある。

そして、その人だけの問題ではなく、社会的な合意があれば人としての権利の行使がしやすくなる可能性もあるように思う。

 

人との関係性をつくるということ、社会的な合意、しくみなどにも目を向けて、人を支える福祉現場の方々から教えてもらったことを活かせるよう、2025年も地に足をつけてふんばる。