オフィス今岡

「自分らしく生きる」ことを支えるアサーションをテーマに、研修・ワークショップ・執筆を行っています。

「ナラティヴ・セラピーとアサーション・トレーニング」参加者の言葉から

2022年2月20日に開催された「ナラティヴ・セラピーとアサーション・トレーニング」。大事にゆっくりふりかえりたくて、ひと月も時間がかかった。

34名の方からアンケートを返していただいたことに感謝し、掲載に了解をいただいた方の一部を紹介したい。

 

【参加された感想】

  • 関係性から意味が立ち上がっていく際に、相手の「意味の風景」を知ることがお互いへの理解につながる可能性を思いました。
  • アサーションを知ったのは30年くらい前でしたが、時代の変化とともに少しずつ企業の中でも大切なところを理解してくださる方や実践しようとしてくださる方が出てきたように感じています。明らかにアサーションのことを話せる人が周りには一人増え、2人増えしています。アサーションを日本に紹介し続けて、アサーションの心を語り続けていただいたことに心から感謝しています。
  • 伝えることは意味の候補にすぎないから、スタートして対話で意味を見出す謙虚さと面白さが大切だとお二人のセッションから感じました。
  • こうさん(国重さん)が最後に「アサーションを学んだ人間として、人生から期待されている存在であるということを問われているんだ」とおっしゃったことは、学びを社会にどのように還元していくかと受け取りました。そのことを大切にしている私としてはとても嬉しかったです。
  • 平木先生が最後におっしゃった「意味の中身は複雑、でも共有するためには、双方が感じたこと、思ったことを話し合えるようになること」は心に残り、まずは自分から始めてみようという勇気をいただきました。
  • お二人のトークセッションで、お互いに聞き合われることや、ここまでの長い道のりを越えて、やり続ける意味や伝えたい良きもの、人が自分らしく生きていくことのコツを伝え続けてこられた姿にも感動しました。
  • ガーゲンの「人々はお互いの言葉のやりとりの中で『意味』をつくっていくものであり、『意味』とは話し手と聞き手の相互作用の結果である」という言葉が改めて腑に落ち感をおぼえました。
  • 私自身、企業の中で依然としてハラスメントが起こっている状況に無力感を感じていたのですが、今日の時間の中でreadyな状態も醸成されつつあることに気づくことができ、少し気持ちが楽になりました。
  • 今回は人と人の間で日々の生活があり、「あなたのことを話してもいいのだ」と伝えていくことは、自分の人生を生きているのだと感じるということにつながること、何を言うのか言わないのかという問題も個人だけの問題ではないこと、アサーティヴな語りも相手次第で関係性の中に現れることやナラティヴ・セラピーにおける行為の風景と意味の風景を語ることについてでは、共感とは、傾聴とは、や意味の風景を語ってもらうためにはよい聴き手が必要だということなど、1人の人として相手の話を、カウンセラーとして相談者の話をどのように聴くのか、どのような心がけが必要なのかを考える機会となりました。
  • 「意味の候補」という考え方が新鮮でした。コミュニケーションにおいて意味を厳密に考える癖がついてしまっています。「意味の候補」となった場合には、互いに意味をすり合わせる、そんな形のコミュニケーションになるかと思います。曖昧なのにわかったふりをしてやり過ごすのではなく、「こう理解したけど合っていますか?」という柔軟なやりとりがアサーションでできたらいいなと思いました。
  • 平木先生の今なお「何とかできないか」と探求される姿勢、こうさんの「しようとしている人がいるという見方もある」とおっしゃった周縁化せず希望に向かう視点、お二人の真摯な「姿勢」とお話に感動しました。
  • アサーションの「人間尊重」「人権尊重」とは、ナラティヴ・セラピーの源流にある社会構成主義と同じところを目指している、と理解が進んだ。共にアサーティヴに語り、アサーティヴにいられる環境を醸成するために、ナラティヴ・セラピーの哲学が助けになることが理解できた。

 

最後にアンケートに書いていただいた国重さんと平木先生へのメッセージは、すべてお二人にお届けしました。心のこもった言葉の数々をありがとうございました。

 

約4か月前から準備を始め、申込を開始するとあっという間に満席になった講座だった。プレゼンターはナラティヴ・セラピーの国重さん(こうさん)とアサーションの平木先生、それぞれの領域で第一人者であるお二人の話をリアルタイムで聞くことができる機会への期待が伝わった。

アンケートでも多くの方が記載をしてくださっていた「私たちが話しているのは、意味の候補の1つであり、他にもある可能性がある」という捉え方を知り、ナラティヴ・セラピーとアサーションのステージがつながった感じがした。

もう1つ、心に響いたことがある。1982年に平木先生がアサーション・トレーニングを日本でスタートされて、今年で40年になる。こうさんが語ってくださった「その積み重ねがあるからこそ、条件や状況が整えば発動されるreadyな人がいるように思う」というメッセージ。ナラティヴ・セラピーも20~30年前ではできなかったことが、今、日本で学ぼうとしている人が大勢いることは、積み重ねがあってこそだ。

ナラティブ・セラピー、アサーションを学んでいる私たちに期待されていることは何なのか、1人でもできることはあるが、人とかかわって(協働して)何をどのように実践していくか。期待され、問われている。

 

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