「オープンダイアローグ」という言葉は聞いたことがある。
関連する本は何冊か読んだこともある。
その程度だった。
昨日読んだ「感じるオープンダイアローグ」森川すいめい著/講談社現代新書は、涙をこらえるのがちょっと大変な本だった。
そんな本と出合った。
フィンランド北部にある精神科病院で始められた、困難に直面した人たちとの対話のことをのちに「オープンダイアローグ」と名付けられたそうだ。
「その人のいないところで、その人の話をしない」
「1対1ではなく、3人以上で輪になって話す」
ただそれだけのことで、人として自分を取り戻していく、回復していく道のりにつながるのだという。
詳しくは本書を読んでいただきたい。
何より心に響いたのは、森川すいめいさん自身の体験を記されていることだ。
「自身のことを書く」と決めたこと自体から漂う誠実で、信頼できる姿勢。
本書の85ページに記載されている「リフレクティング」は、「話すことと聞くことを分けて、それらを丁寧に重ねるための工夫」と説明されている。
この「リフレクティング」が気になっていたら、全国で初めて福岡少年院で試みられているという記事を目にした。
リフレクティング研究者である矢原隆行先生の著書
困難にからめとられそうな人を、支援しようと地道に実践を試みている人たちがいる。
そのことは自分の姿にも影響を受ける。
「オープンダイアローグ」、そして「リフレクティング」。
力を少しずつ取り戻せる可能性を感じる考え方であり、手法である。